人と動物との関係は年々変化し続けています。
動物病院に来る動物たちも、ご家族の中での位置付けの変化に伴い、一方向的な「ペット」や「愛玩動物」としての関係から、「伴侶動物」あるいは「家庭動物」など、家族の一員として双方向の関係を結ぶ対象としての存在が強く感じられるようになってきています。
人も本来自然界に生きる動物たちの一員ですので、自然を感じられるものに癒され、共に生きたいと願うことはごく自然なことであると思います。種の異なる動物同士が一つの生活環境を共にし暮らしていく事の難しさは前提として避けられないものですが、動物との生活はこれを補って余りある喜びを我々に提供してくれます。
このようにかけがえのない存在である動物達ですが、彼らのほとんどは私たち人より短命です。
共に過ごせる限りある時間を、大切に寄り添って過ごして欲しいと願います。
ご家族の皆さまが動物病院で過ごす時間も、紛れもなく動物たちと過ごす尊い時間です。
動物たちとご家族にとって、動物病院は決して楽しい場所ではないかもしれませんが、同時にお互いの存在を強く感じ、絆を深められる場所でもあります。
獣医療を通して人と動物の架け橋となり、彼等と共に過ごす時間をより深く豊かなものにできるのであれば、小動物臨床に携わる者としてこれ以上の喜びはありません。
獣医師 田代 修